CO2削減に取り組む世界的な背景
地球環境問題が深刻化する中で、2020年10月に菅首相は所信表明演説で、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と発表しました。
脱炭素社会とは、地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの実質的な排出量ゼロを実現する社会を示しています。温室効果ガスの排出量を抑制し、排出されたCO2をエネルギーとして再利用したりすることで、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするものです。
地球温暖化に関する目標は、1997年の京都議定書が有名です。その後、2015年に採択されたパリ協定では、先進国と途上国を合わせた190か国以上が参加し、脱炭素社会の国際的な実現を目指しています。
いま企業におけるCO2削減の取り組みに注目が集まる
企業は家庭よりも圧倒的にCO2排出量が多い
温室効果ガスインベントリオフィスの2019年のデータによれば、日本のCO2排出量の割合は、産業部門(34.7%)、運輸部門(18.6%)、業務その他部門(17.4%)の順に多く、家庭部門は14.4%となっています。
日本のCO2排出量を削減するためには、国や企業の取り組みが不可欠であることがわかります。
出典:温室効果ガスインベントリオフィス/JCCCA https://www.nies.go.jp/gio/aboutghg/index.html
https://www.jccca.org/download/13335
※間接排出量とは、電気事業者の発電に伴う排出量を電力消費量に応じて最終需要部門に配分した後の値。
CO2削減の取り組みが企業の評価に!ランキングも登場
このような世界的背景や国内での流れを組み、企業の中にはパリ協定と整合した温室効果ガス削減目標(SBT)を設定し、自社の取り組みを公開する企業も増えています。
これは、投資家や消費者などに対して、「環境にやさしい持続可能な企業であること」をわかりやすくアピールする手段でもあるため、会社のCSR活動としてコーポレートサイトやSNSなどを通して、各社は積極的に情報発信をしています。
さらに、WWFジャパンが実施している「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトでは、各企業が公開している環境報告書やCSR報告書の内容をもとに、共通の指標で評価し、企業の順位付けがされています。
このように、企業のCO2削減に関する取り組みは広く注目されており、企業イメージのアップにもつながる重要な要素となっているのです。
企業がCO2を削減する目的
環境に配慮した企業ブランドの醸成
先ほどお話した通り、CO2削減に取り組む企業は、消費者や投資家に好印象を与える傾向があります。取り組み内容がメディア等に取り上げられることもあり、それをきっかけに今までその企業を知らなかった人々にも認知されるケースもあるでしょう。
また、環境省策定のガイドラインに基づく環境経営の認証「エコアクション21(https://www.ea21.jp/ )」や、環境を保護し、環境パフォーマンスを向上させるためのマネジメントシステム規格「ISO 14001」などの第三者機関の認証を受けることで、社会的な信頼にもつながります。
経営面での効果
環境問題に配慮した体制を整え、継続的に改善していくことにより、環境面だけでなく、経費の削減や生産性の向上、目標管理の徹底など、経営面での効果も大きく期待できます。例えば、余計な電力消費の削減を徹底すれば、自然とエネルギー消費コストも削減され、経費の削減につながります。
持続的な経済活動
温室効果ガスの影響によって、大規模な森林火災をはじめ、水害やハリケーン、長期化する干ばつなどの自然災害が世界規模で発生しています。これらはインフラや経済システムに多大なるダメージを与えるだけでなく、農作物の不作や感染症の発生にも影響し、結果として企業の経済活動にもダメージを与えます。
環境にやさしい経営に取り組むことで、持続的に資源を確保しやすくなり、持続的な経営も実現できるのです。
企業のCO2削減取り組み事例
では、実際に各社どのような取り組みを行っているのか、ご紹介します。
凸版印刷
凸版印刷では、2050年度に「温室効果ガス排出の実質ゼロ」を目指し、再生可能エネルギーの利用推進に向けた取り組みを行っています。具体的には、2020年1月に坂戸工場に太陽光発電設備を導入。発電した電力を工場内で自家消費することで、CO2排出量を削減しています。
また、工場設備を計画的かつ高効率な設備へ更新したり、半導体製造工程で排出される温暖化ガスの除害装置を設置したりしています。
イオン
イオンは、2050年までに店舗で排出するCO2等を総量でゼロにすることを掲げ、各店舗で以下のような取り組みを行っています。
・店舗屋上等に太陽光発電設備の設置
・全館LED化
・IoTを活用してグループ店舗のエネルギーを遠隔一括管理
また、パートナー企業やお客様にも、CO2削減の協力を働き掛けています。 例えば、プライベートブランド商品の製造を委託している企業へCO2削減目標の設定を要請したり、CO2削減貢献商品の開発を進めています。
コニカミノルタ
コニカミノルタは、「2050年までに自社製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量を2005年度比で80%削減する」という目標を設定しています。生産技術の開発・改善を行い、環境負荷低減とコストダウンを同時に実現したり、取引先と一緒に環境負荷低減に取り組むといった活動を行っています。
特に注目したいのが、社内で積極的に実施している「エコオフィスの5アクション」です。
1.オフィス内の省エネ・節電を推進する
2.エレベーターの効率運用に努める
3.水の節約に努める
4.ゴミの排出量削減及び再資源化に努める
5.購入時は環境に配慮されたものを選択する
一見、地味な活動に見えますが、このアクションが日本全体の企業で当たり前のものとして浸透していくと、その影響と効果はかなり大きいのではないでしょうか?「企業でCO2を削減する取り組み」と聞くと、設備コストがかかったり、高い目標を掲げなければならないイメージもありますが、まずは自社でできることから着手していくことが大切であることがわかりますね。
オフィスで出来るCO2削減方法
先ほどの事例を踏まえ、オフィスで手軽にできるCO2削減方法をいくつかご紹介します。
空調のCO2削減方法
オフィスにおける電力消費のうち、空調用電力が約48%で約半数を占めると言われています。電気代とCO2削減するのであれば、「空調費」を削減することが最も効果的と言ってもよいでしょう。
・空調の設定温度をある程度一定に保つ
・クールビズの強化(Tシャツ、ポロシャツの着用可)
・ブラインドや遮熱フィルムを活用
・扇風機やサーキュレーターを活用する
照明のCO2削減方法
オフィスにおける電力消費で2番目に高いのが、全体の24%を占めると言われる照明用電力です。
・照明をLEDに変える
・使用していないエリアの消灯を徹底する
・照明を間引きする
OA機器のCO2削減方法
OA機器の消費電力量を削減する方法には、以下が挙げられます。
・パソコンの離席時の電源オフ
・パソコンのスタンバイモードの設定
・コピー、プリントアウトの量を最小化
・省エネ型OA機器の導入
・リサイクルコピー用紙の活用
オフィスの電力消費の内訳や、より具体的な方法と節電効果について、より詳しく知りたい方は、以下の参考記事をご覧ください。
<参考記事>
<link>オフィスの節電でCSR活動!手軽にできる電気代節約方法6選
建物全体で消費電力を抑えるソリューションの活用も
本記事を参考に、ぜひ手軽にできるところからCO2削減の取り組みを進め、企業のブランディングやコスト削減に活用してみてください。
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